それは李さんが最もつらかった時だった。大きく息を吸いこんでも、肺が思うように動かず、吸ったばかりの空気がまた直接口から吐き出されるような感じがした。李さんは自分の手と足の色が変わっていくのをなすすべもなく見つめていた。體溫も下がり、自分はもうだめだと思った。
「私は自分に、今はどんなにつらくても眠ってはだめ、寢てしまったら呼吸をするのを忘れてしまう、と言い聞かせた」。李さんは懸命に息を吸い、手足が溫まるように頑張って動かすと同時に、死を前にしたメッセージを入れた20分間の動畫を少しずつ撮影した。萬が一最悪の事態になった場合に、李さんは身內や友人たちに別れを告げずに死にたくないと思ったからだ。
數時間後、手足は徐々に溫かくなってきた。李さんは眠ってしまうのが怖かったので、朦朧としながら夜明けまで耐え、ついに酸素ボンベがなくても自発呼吸ができるまで回復した。
李さんは九死に一生を得て、幸いにも持ちこたえることができた。李さんは、薬による治療の一方で、自分の身體と信念のおかげでもあり、リラックスした心の狀態がとても重要だと確信している。
「光を燈し、暗闇を少しでも照らそう」
2月8日、隔離病棟エリアで醫療従事者と記念寫真を撮る李霖琳さん(仮名、寫真左から3人目、撮影?李安)。
李さんの病狀は徐々に回復し、體溫は37℃まで下がり、肺の炎癥は次第に収まり、帰宅できる日が間近に迫っていた。
李さんは隔離病棟にいたが、そんな中でもかなりの精力をパニック狀態にある親しい友人や見知らぬ人を安心させることに注いだ。入院當日、李さんは7項目の注意事項を挙げ、家族に自宅待機するよう念を押した。李さんの家族のうち、後に母親も感染したが、間もなく治癒し退院する予定だという。
李さんは折に觸れて、微信(WeChat)のソーシャル機能「朋友圏(モーメンツ)」で感染を防ぐための生活習慣をシェアし、関連する文章を専門知識を使って分かりやすく解説している。多くの友人が、心の安定を得ようと李さんとチャットでコミュケーションしている。
「すべての人に頑張ってほしい」と話す李さんは、今はもうこの病気自體はそれほど怖くないという。李さんは、時には意志の力で打ち勝つことが必要になることもあるとし、「私が乗り越えられたのだから、他の人だって大丈夫」と語った。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年2月12日