合肥工業大學の研究チームはこのほど、新型マイクロナノレニウム調剤の開発に成功した。新薬は、優れた生分解性と生體適合性を備えており、腫瘍をめぐる安全かつ有効な診斷?治療を実現するとみられている。この成果は、英王立化學會(RSC)のジャーナル誌「Chemical Science」に発表され、巻頭論文として掲載された。新華網が伝えた。
ナノゴールドなどの金屬ナノ材料は、そのプラズマ共振効果から、腫瘍の診斷?治療分野への応用に大きな期待が寄せられている。だが現時點で貴金屬ナノ材料は、生體內での分解が難しく、長期にわたり體內に留まる危険性から、さらなる臨床応用への転化が難しかった。
安定性が高く、航空?宇宙分野の材料として広く応用されているレニウム合金は、ナノ材料に用いられる際に優れた生分解性を備えていることが今回の研究から明らかとなった。合肥工業大學食品バイオ工程學院の査正寶?教授の研究チームと化學?化工學院の陸楊?教授の研究チームから成る共同研究チームは、シンプルなワンステップ液相還元法を採用し、直徑約2ナノメートルの極小ナノレニウムクラスターの製造に成功した。このレニウムは、極めてはっきりとしたX線量低減?近赤外線吸収作用を備えており、腫瘍のCT診斷および光線溫熱治療に利用することができる。
共同研究チームの実験から、この新型材料のX線吸収率は、商品化されているCT造影剤「ヨードアミン」を上回ることが明らかになっている。腫瘍部分にこの材料を注射したあと、レーザー光線をそこに10分間、1度照射しただけで、腫瘍が熱によって完全に融解し、その後16日以內の再発が認められなかった。また、ナノレニウム材料は、過酸化水素の作用でほぼ無毒の過レニウム酸基イオンに転化し、腎臓を通して問題なく體外に排出され、腫瘍診療の安全性も保証される。
論文の筆頭著者である繆昭華?博士は、「安全な生分解性を備えたナノレニウムは、各種腫瘍の診斷や治療に応用可能で、広く普及しているナノ金屬が、既存の薬に取って代わり、次世代抗腫瘍薬となる可能性は高く、今後の臨床への応用に大きな期待を寄せることができる」との見方を示した。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年6月17日