北京市の拾一區茶空間で8月30日午後、裝道禮法きもの學院の五十嵐キミ子講師が日本の禮法と折形を紹介する講座を行った。平日午後という時間帯にも関わらず定員を超える申し込みがあり、日本文化に対する関心の高さをうかがわせた。人民網が伝えた。
「禮法」と耳にするとついつい堅苦しい行儀作法を思い浮かべがちだが、昔は親から子へ當たり前のように伝えられたものだった。そんな禮法を最も身近に體現したものが「お辭儀」だ。ハグや握手の習慣の無い日本において挨拶や感謝の気持ちは全てお辭儀で表現するといっても過言ではない。講座では、挨拶の相手によって異なる角度や美しいお辭儀の仕方などを五十嵐講師がお手本を見せながら紹介。そしてその所作の美しさもさることながら、何よりも大事なのは相手に対する「心」を込めることだとした。
そしてこの「心」を包むのが「折形(おりがた)」だ。折形は和紙を折り目正しく折り、物を心を込めて包み渡す600年以上の歴史をもつ日本の由緒正しき禮法の1つ。講座ではそんな折形の中から比較的簡単な禮金などの包み方3種類のほか、現代風にアレンジされたランチョンマットの飾りや箸置き、そしてお茶菓子の懐紙の折形を體験した。
日本の折形は原則的に白または生成りの和紙を使用する。そのため、五十嵐講師が日本から持參したという和紙もそうした色合いのものがほとんどだったが、中國ではお祝い事の禮金は「紅包」という名の通り、赤い袋に入れるのがオーソドックス。そのため參加者の中國人からも、「紙の色は赤でもいいのか?」という質問が挙がっていた。それに対して五十嵐講師は、原則はあるが、各國の習慣も尊重すべきであり、特にこれはダメというものはないとし、ここでも「相手に対する心」が何よりも大事であると強調していた。
こうした禮法や折形という形式を通じて、心を表現することは中國人にとって新鮮さをもって受け入れられたようで、參加者の一人も、「中國にも過去にはこうした細やかな禮儀作法などが存在したが、時代の流れと共に失われてしまった。お辭儀や折形を通じて、相手に対する心を表現することはとてもためになると思った」としていた。
今回講師を務めた五十嵐キミ子さんは日本で著物の著付け講師として長年活躍しているだけでなく、これまでにも海外で積極的に日本の禮法や著物といった伝統文化を紹介する活動に関わっている。今回の活動については、「ここ數年、日本文化に対する中國人の関心がますます高まっていると感じている。今回のような活動を通じて、もっとたくさんの中國人の方々に日本の伝統文化や美しい禮法を知ってもらいたい」とした。(文?玄番登史江)
「人民網日本語版」2019年9月2日