米國ジョージア州アトランタ地區で先日発生した悪質な銃撃事件に世界は驚愕した。容疑者は「レイシズム」が犯行動機であることを否認しているが、殺害されたうち6人がアジア系女性だったという事実は、新型コロナウイルス感染癥のパンデミックの中、アジア系が再び排外的感情の犠牲者となっていることを間違いなく証明している。(文:崔越。人民網掲載)
今年に入ってから、米國ではアジア系に対するヘイトクライムが発生し続けている。1月31日、カリフォルニア州で84歳のタイ人の高齢者が突然地面に押し倒され、治療の甲斐なく死亡した。2月16日、ニューヨークで52歳のアジア系女性が襲われ、頭部を10針縫う怪我を負った。3月17日、75歳の華人女性がサンフランシスコの路上で白人の男に理由もなく襲われ、頭部に怪我を負って流血した。
米國メディアは、アジア系米國人にとってレイシズムと白人至上主義はずっと生活の一部になっていることは「悲劇」だと報じた。では、この悲劇はどこから來て、どこへ行くのか。
現政権のホワイトハウス報道官は、アジア系に対するヘイトクライム増加の責任を前政権の破壊的発言に帰した。確かに、一部の反中勢力は新型コロナウイルスの感染拡大について噓を撒き散らし、ナショナリズムとヘイトを煽り立てて、アジア系の人々を危険の深淵へと押しやった。
米「Stop AAPI Hate」が16日に発表した報告によると、2020年3月19日から2021年2月28日までに、米國ではアジア系に対する人種差別事件が3795件発生した。米國の政治屋が安易に口にした「中國ウイルス」という言葉が、いつの間にか人々の心にヘイトの種を蒔き、やがて根を下ろし、芽吹き、そしてその人にとってのある「ひどい一日」に血まみれの銃弾となってしまったのだ。
米國社會において、白人がエスニック?マイノリティをヘイトの発散対象とすることには歴史的?文化的な要因がある。1871年のロサンゼルス華人大虐殺、1882年の「中國人排斥法」、第2次大戦中の日系移民數萬人の強制収容所への収容、そして2001年の米同時多発テロが引き起こしたイスラム教徒へのヘイトなど、白人以外の人種はいつでもどこでも、戦爭や失業、パンデミック、あるいはテロ事件のスケープゴート、ヘイト発散の道具にされ得る。
さらに、アジア系女性はある種の「罪深いファンタジー」の投影対象にもされる。今回のアトランタ殺人事件の犯行動機について、容疑者は「誘惑」を取り除くためだったとしている。英紙ガーディアンは、これ以上人間性の欠落した話は全く思い浮かばないとした。カリフォルニア大學バークレー校のCatherine Ceniza Choy教授(エスニック?スタディーズ)は、「アジア系女性を殺すことで男の直面する誘惑を取り除くというのは、アジア女性とアジア系米國女性をある種の欲望の投影物としてきた歴史を浮き彫りにするものだ。そこでは、彼女らの価値は男性の幻想や欲望とのみ関係している」と分析する。アジア太平洋ジェンダー暴力研究所の報告によると、たとえパンデミックの間でなくても、21~55%のアジア女性が米國でセクシャルハラスメントや性暴力の被害に遭っていた。
米國の學者Thomas Sowell氏は著書『Ethnic America: A History』で、「米國人の運命を決定するうえで、肌の色が決定的影響を持っているのは明らかだ」と総括した。悲しむべきことに、こうした影響に関する負の物語は繰り返され続けている。
銃撃事件の発生後、米國の複數の都市で人々が街に出て、アジア系米國人への暴力行為に抗議した。昨年の「Black Lives Matter」(黒人の命は重要だ)抗議運動と非常に似た光景だ。さらに遡ると、マーティン?ルーサー?キングがアフリカ系米國人を率いて「I have a dream」(私には夢がある)と叫んだのは1963年のことだ。
人々は不満の聲を上げ続けているが、悲劇は繰り返され続けている。これがオバマ元大統領の言った「normal」(通常の事)なのかもしれない。「數百萬人の米國人にとって、人種のために異なる扱いを受けることは悲慘で、痛みと怒りを覚える『通常の事』なのだ」。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年3月23日