本書は、中國を侵略した舊日本軍の兵士による従軍日誌を整理?翻訳したものである。日本の中國侵略という史実を、戦爭に加わった日本軍兵士の視點から映し出した作品である。また戦爭の責任とは何かを父子二代が徹底して思索?反省し、「永遠に戦爭をしない」との決意を人々に伝えようとする反戦の書でもある。
日誌の筆者である武藤秋一氏は、日中戦爭の全面勃発前の1936年に軍に応召され、中國の天津、河北、杭州、南京、安徽などを軍とともに転戦した。1938年6月に負傷し、7月に治療のため帰國し、退役となった。1941年に再度軍に応召され、內蒙古ハイラルに派遣された。ここでは國境警備の任務を負い、1943年に退役となり、帰國した。1944年の臨時召集で三度軍に応召され、今度はフィリピンに派遣され、戦爭に動員された。1945年9月8日、現地で米軍に投降して捕虜となり、1946年7月に捕虜収容所から帰國した。武藤氏は2006年に亡くなっている。本書は、氏が最初に軍に応召され、日中戦爭に加わった際に記した日誌である。