人民元が世界に進出することは、中國経済にプラスになるだけでなく、世界の金融の安定にとっても意義をもつことだといえる。中國銀行の田國立董事長(會長)はこのほど英國?ロンドンで開催された「中英金融フォーラム」で講演し、「人民元の國際化はグローバル金融の安定に向けた重要な選択肢だ。1997年のアジア金融危機および2008年のグローバル金融危機に際して、人民元は値下がりしなかっただけでなく、一定の上昇ペースすら保ち、世界経済の安定?発展に対して重要な責任を擔った」と述べた。
▽海外進出の基本的條件は備わった
現在、中國の経済規模は世界2位、貿易の規模は世界1位だ。國境を越えた貿易において人民元の利用を拡大することは、中國にとっても貿易パートナーにとってもメリットがある。田董事長によると、13年には中國の國內総生産(GDP)が世界全體の12.4%を占め、対外貿易は世界の11.4%を占めた。経験からわかることは、人民元が國際通貨となる基本的な條件はすでに備わったということだ。
中國人民銀行(中央銀行)のまとめたデータによると、14年第1四半期(1-3月)に中國から流出した人民元資金は3400億元(約5兆5426億円)に上り、オフショア人民元市場の流動性をさらに補う形になった。オフショア市場の人民元建て預金殘高は2兆4千億元(約39兆1245億円)に上り、世界のオフショア市場預金殘高に占める割合は1.51%に上昇した。オフショア人民元債権の新規発行額は前年同期比160%増加し、オフショア市場の人民元?外貨取引量は13年第4四半期(10-12月)の2倍になった。
中國は世界的な経済貿易大國であり、世界で経済が最も急速に伸びている國だ。厚みのある経済力、巨額の外貨準備、人民元の値上がり観測によって、人民元國際化の條件は基本的に整ったといえる。分析によると、人民元國際化はおおよそ次の5段階に分けられる。(1)人民元が國外で利用できるようになり、流通するようになる段階(2)貿易建値通貨になる段階(3)貿易決済通貨になる段階(4)投融資に用いられる段階(5)國際準備通貨になる段階だ。