日本政府が國際原子力機関(IAEA)に核物質プルトニウム640キロを申告していなかった問題が國際社會と世論に衝撃を與えている。今年1月には331キロの兵器級プルトニウムなどを保有していることが問題になったばかり。核関連のニュースが立て続けに起こったことで、第2次世界大戦の侵略の歴史を徹底的には反省できず、軍拡と戦爭準備に向かっている國に対し、國際社會の心配が高まっている。心配の焦點は二つある。非核保有國であり、第2次大戦の敗戦國である日本がこれほどの核物質を持っているのはどのような意図に基づくものか。もしも日本が核兵器を製造したら國際社會はいかに対応すべきか。(文:厖中鵬?中國社會科學院日本研究所研究者)
日本は原子力発電大國であり、原子力発電所の使用済み核燃料を長期にわたって再処理しており、世界屈指のプルトニウム保有國となっている。今回問題となった640キロを含め、日本のプルトニウム総量は45トンに達する。核弾頭換算で5500発相當という驚くべき量で、日本が敏感な核物質の保有大國であることは確かである。
日本はIAEAの加盟國(1957年加盟)であり、核拡散防止條約(NPT)の加盟國(1995年加盟)でもある。IAEAとNPTは現在、核拡散防止と核監視管理の世界で最も権威のある國際的制度とされている。日本はこの制度の構成員として、関連規定を厳格に遵守しなければならず、問題となる核物質を勝手に保有したり隠し持ったりといった違法行為は許されない。大量の敏感な核物質を日本が秘密に保有していたというニュースが國際世論の知る所となった今、國際核不拡散體制の重要な構成員である日本は、國際社會にどう顔向けをしようというのか。
敏感な核物質の保有に対する國際社會の心配に対し、日本が言葉を濁し、不透明なまま非難を逃れようとしているのを見ると、日本が大量の敏感な核物質の保有を続けているのには次の3つの目的があると考えざるをえない。
第一に備蓄。國際的な狀況が有利になるのを待ち、迅速に核兵器製造に乗り出す準備をしている。
第二に外交カード。米國との駆け引きの道具とする。日本の核物質は最初、冷戦期に米國が日本に貸し出したものである。國際狀況の変化に伴い、日本は、極東において中國などの國を抑える戦略的支點となり、日米は相互に利用し、相互に助け、米國が貸し出した核物質は徐々に日本の占用物となった。だが日本政治の右傾化が進んだことで、米國も「養虎遺患」(虎を飼って災いを殘す)という道理にようやく気付いた。つまり日本が長期にわたって核物質を返していなかったことは、日米同盟において日本に有利な戦略的カードを得るためだった。安倍首相などの右翼の政治屋にとっては、米國のコントロールを脫卻することが「普通の大國」になるための必要條件の一つであり、米國のコントロールを完全に脫卻するには、核物質を単獨で握ることが重要な戦略的カードとなる。「返すか返さないか」「一部だけ返すか完全に返すか」で最適なポイントを見定めることが、コントロールとその押し返しという米國と日本との駆け引きの最良のカードの一つとなる。