中國人民銀行(中央銀行)は1日、金融機(jī)関から資金を預(yù)かる預(yù)金準(zhǔn)備率を6日から0.5ポイント引き下げると発表した。人民銀行の関係責(zé)任者は、今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げについて、「今回は全面的な引き下げ。この反循環(huán)的調(diào)整により市場に8000億元(1元は約15.5円)以上の長期的資金を放出できる」と説明した。では、中國人民銀行はなぜこの時(shí)期に預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げを?qū)g施したのだろうか?そしてこれによりどんな影響がもたらされるのだろうか?
なぜこの時(shí)期に預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げ?
中信証券研究部固定收益首席アナリストの明明氏は、「2020年の春節(jié)(舊正月、今年は1月25日)は例年よりも早く、流動性環(huán)境が、資金満期圧力の小幅上昇や現(xiàn)金の需要急増、納稅、財(cái)政支出、特定項(xiàng)目債券の発行などにおける力加減やテンポが不確定などの多くの要素の影響に直面している。中央銀行が預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げに踏み切ったのは、春節(jié)の時(shí)期の流動性に合わせたもので、これにより資金利率を安定させることができる」との見方を示している。
中國民生銀行首席研究員の溫彬氏は、「1月に6000億元のリバースレポが次々満期を迎えるほか、納稅や地方政府の特定項(xiàng)目債券発行、春節(jié)期間の現(xiàn)金需要などの要素が加わり、流動性に圧力がかかる。そのため、預(yù)金準(zhǔn)備率を引き下げることで、8000億元の資金を放出し、上述した流動性の需要に対応することができる」と分析している。
人民銀行は、預(yù)金準(zhǔn)備率の引き下げにより、金融機(jī)関が実體経済を支える安定した資金源を効果的に増やし、金融機(jī)関が実體経済を支えるための資金コストを低減し、実體経済を直接支えることができると説明している。
どんな影響がもたらされるか?
〇株式市場
これまでの預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げにより、株式市場が受けた影響を見てみると、預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げは株式市場に好影響を與えてきたと言える。ある歴史的統(tǒng)計(jì)データによると、中央銀行が預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げを?qū)g施してから1ヶ月以內(nèi)、3ヶ月以內(nèi)、半年以內(nèi)、A株市場では株価上昇が多く、下落は少ない。英大証券首席経済學(xué)者の李大霄氏は、「今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げは全面的で、政策的方向性がはっきりしている。市場の利率の引き下げにプラスで、『恵みの雨』となるだろう。春節(jié)期間の資金の需要への対応や経済成長の安定という面において、非常に重要な役割を果たし、市場の景況感も向上し、株式市場にも大きなメリットがあるだろう」との見方を示している。
預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げの各區(qū)分や概念株(中國の企業(yè)が海外で発行している株)に対する影響はそれぞれ異なり、通常、金融や不動産など、資金密集型の業(yè)界が益を受けることになる。
〇債券市場
債券市場について、中國銀行業(yè)協(xié)會業(yè)界発展研究委員會の連平主任は、「今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げは、債券市場を活性化させ、同市場のリスクを抑制する點(diǎn)で積極的な役割を果たすだろう。今後、さらなる預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げが実施される可能性もあり、今後の債券市場が一層安定し、良好な運(yùn)営狀況を保つために、積極的な影響を與えるだろう。また、預(yù)金準(zhǔn)備率の引き下げの直接的影響は限定的だ」との見方を示している。
〇不動産市場
不動産市場について、易居研究院智庫センター研究ディレクターの厳躍進(jìn)氏は、「今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げ後、いくつかの積極的な影響があるだろう。まず、不動産金融環(huán)境がさらに緩和される可能性がある。2019年に3度にわたり実施された預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げをベースに、2020年における1回目の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げが実施されると、金融環(huán)境の緩和傾向が一層強(qiáng)まると見られる。実際の狀況を見ても、不動産金融環(huán)境も緩和される必要がある。特に不動産開発融資や個(gè)人の住宅抵當(dāng)貸付けなどの分野で、積極的な改革実施が必要だ。今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げは、的を絞った預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げではないため、客観的に見ると、多くの銀行が資金融資を行うようになると見られ、不動産の分野にも積極的な影響があるだろう。次に、預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げにより、ローンプライムレート(LPR)利率が引き下げられ、LPRの基礎(chǔ)利率が下がるにつれて、銀行の不動産の分野への融資業(yè)務(wù)も調(diào)整され、不動産ローンの利率も下がる可能性がある。それにより、不動産購入コストが低下し、2020年3月から始まる既存の融資をLPRに基づく新しい金利ベースに転換する業(yè)務(wù)も展開しやすくなる」と分析する。
〇資産運(yùn)用
個(gè)人の資産運(yùn)用を見ると、預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げにより、市場に資金が放出され、通貨の流動性が強(qiáng)まり、マネーファンドの收益率がまず影響を受けると見られる。支付寶(アリペイ)などの資産運(yùn)用による年間收益率は既に約2.5%まで下がっており、今後さらに下がる可能性もある。一方で、銀行の資産運(yùn)用商品の收益率も下方傾向が続く可能性がある。
中國の通貨政策の方向性は変わる?
世界各國の中央銀行が緩和政策を?qū)g施している中で、中國の中央銀行が預(yù)金準(zhǔn)備率の全面的引き下げを発表したのは、中國の通貨政策の方向性が変わったということなのだろうか?
これについて中國人民銀行は通貨政策の方向性が変わることはないと強(qiáng)調(diào)している。
人民銀行は、「今回の預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げは、春節(jié)前の現(xiàn)金需要に対応するもので、銀行體系の流動性総量は依然として安定しており、適度な柔軟性を保っている。そして、全面的な緩和を?qū)g施するのでは決してなく、科學(xué)的で安定的に通貨政策の反循環(huán)的調(diào)整の度合いを體現(xiàn)しており、安定的な通貨政策の方向性が変わることはない」としている。
中國は今後も、安定的な通貨政策を?qū)g施し、適度な柔軟性を保ち、全面的な緩和を?qū)g施することはなく、內(nèi)外のバランスを取り、十分に合理的な流動性を保ち、現(xiàn)金貸付や社會融資の規(guī)模の拡大と経済発展のバランスを取り、市場の主體の活力を喚起し、質(zhì)の高い発展や供給側(cè)の構(gòu)造改革に適した通貨?金融的環(huán)境を作り出すことに疑いの余地はない。
預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げにより金利も下がる?
預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げが実施されると、金利も下がるのだろうか?業(yè)界関係者は、すでに利下げ周期に入っていると見ている。
2019年11月5日、人民銀行は1年物中期貸出ファシリティー(MLF)を使った公開市場操作(オペ)を?qū)g施して金融機(jī)関に4000億元を供給した。同日に満期を迎えたMLF融資とほぼ同じ額で、金利は5ベーシスポイント引き下げられて3.25%となった。人民銀行のMLFを使った公開市場操作は約4年ぶりだった。
この金利引き下げについて、中國民生銀行首席研究員の溫彬氏は、「2019年、世界の経済成長が鈍化するにつれて、多くの國の中央銀行が金利を引き下げて対応してきた。米國連邦準(zhǔn)備制度理事會は2019年に金利を3回連続で引き下げ、中國と米國の10年ものの國債收益率の差はさらに拡大した。対ドル人民元レートは安定して回復(fù)しており、中央銀行に金利引き下げの余地を與えている」と分析している。
2020年について、中信証券は、「コスト低下が依然として金融政策の一番の目標(biāo)。量と価格のバランスを取るための余地が依然として殘っており、2020年も引き続き金利が引き下げられるだろう」と展望している。
ミニ知識
〇預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げとは?
「預(yù)金準(zhǔn)備率」を簡単に説明するならば、預(yù)金の一定比率以上の金額を中央銀行に預(yù)け入れる比率のことだ。準(zhǔn)備金としての準(zhǔn)備預(yù)金が銀行の預(yù)金総額に占める割合が預(yù)金準(zhǔn)備金率となる。中央銀行が銀行に対して、一定のお金を預(yù)けるよう求めている理由は、商業(yè)銀行がむやみに融資を行い、預(yù)金者に返す十分な現(xiàn)金が足りなくなるという狀況を回避するためだ。中央銀行が預(yù)金準(zhǔn)備率を引き下げることで、銀行業(yè)の流動性が強(qiáng)まり、市場により多くの現(xiàn)金が流れることになる。
〇預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げと金利引き下げの違いは?
金利引き下げとは、銀行の貸付利息を下げることで、市場の資金量が増えることはないものの、資金の流れを変えることができる。その主な目的は、企業(yè)の投資を刺激することで、それにより必ずしも通貨の流通量が増えるわけではない。
金利引き下げの主な効果は2つある。
1、中央銀行に預(yù)金するメリットを減らすことで、通貨を銀行以外の市場に流し、取引のアクティブ度を向上させることができる。
2、借入コストを下げて、商品の競爭力を向上させることができる。
つまり簡単に説明すると、預(yù)金準(zhǔn)備率引き下げは通貨を放出するのに対して、金利引き下げは投資を刺激することになる。(人民網(wǎng)日本語版論説員)
「人民網(wǎng)日本語版」2020年1月6日