「萬引き家族」も是枝監督が得意とする「家族」がテーマだ。同作品を鑑賞した映畫評論家?桃桃林林氏は、「近年の是枝監督の作品では最も優れている。一貫してアットホームな作風が保たれながら、代表作『誰も知らない』(04年)のころのように、社會問題へもスポットが當てられている。溫かみがあり、涙も出る作品だ」と評価する。また、出演者、特に子役の演技も素晴らしい。
大賞受賞は歴史や現実とも関係
日本映畫がパルム?ドールを獲得したのは「萬引き家族」で5回目となる。是枝監督は、黒澤明監督と衣笠貞之助監督、今村昌平監督に続いて同賞を受賞した4人目の日本人監督となった。
今回のカンヌ國際映畫祭のコンペティション部門には、「萬引き家族」のほか、濱口竜介監督の「寢ても覚めても」もノミネートされていた。近年、日本映畫は、カンヌ國際映畫祭とベルリン國際映畫祭、ヴェネツィア國際映畫祭の世界三大映畫祭で賞を度々受賞している。是枝監督の作品を見ると、「誰も知らない」の主演の柳楽優彌(當時14歳)がカンヌ國際映畫祭において、史上最年少で最優秀主演男優賞を獲得した。13年以降は、「そして父になる」、「海街diary」、「萬引き家族」と、ほぼ毎年、カンヌ國際映畫祭やヴェネツィア國際映畫祭のコンペティション部門にノミネートされている。「そして父になる」は13年、カンヌ國際映畫祭の審査員賞を獲得した。
「日本映畫が人気となっているのは、そのアートのハイクオリティと直接関係がある」と沙丹氏。1950-70年代、日本の映畫界は、世界映畫の変革期の影響を大きく受け、巨匠も続々と登場。映畫という分野では、アジアを牽引するようになり、アジア映畫の発展に大きく寄與した。沙丹氏は、「パルム?ドールを獲得したことのある衣笠貞之助監督や今村昌平監督、黒澤明監督などは、基本的に60年代に臺頭した」としている。
90年代中期から映畫監督となった是枝監督は、小津安二郎監督の作品のような日本映畫の溫かみある伝統を引き継ぎながら、臺灣地區の侯孝賢監督の影響も強く受け、中國を始めとする東洋の美學も盛り込んでいる。そして、そのテーマだけでなく他の面においても、完璧とも言えるほどの完成度で現代の日本の生活感あふれるシーンを切り取り、こうした映畫作品を業界のトップクラスへと高めたといえるだろう。
しかし沙丹氏は、「日本映畫は世界で大きな賞を受賞しているが、日本國內の映畫産業の発展は、それほど思わしくない。市場と資本が足かせとなり、今の日本には、ハリウッド式の大作や純商業映畫がほとんどない。主な流行は、漫畫の映畫化と、現代の都市生活をテーマにした映畫の2つだ」と指摘する。後者が流行しているため、日本の映畫人は、ヒット作を生み出すためにはひたすら創作に専念せざるを得なくなってきている。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年5月21日
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