かつて北京駐在の記者だった私が中國の両會の取材を始めたのは1990年だった。會場の巨大さ、代表?委員の多さ…當時の驚きを今なお覚えている。私は初めて大國としての中國の規模を深く感じた。その後20年余りの間、計10年近く北京に駐在した。私にとって両會は常に最も重要な取材活動だ。政府活動報告と代表?委員の討論を通じて、中國の政治、経済?社會面の今後の発展の方向性を知り、中國人が何を追い求めているのかも知ることができる。両會閉幕時の総理記者會見に參加を申し込む外國人記者は年々増えている。この事からも私は、中國の両會に対する世界各國の注目度が飛躍的に高まっているのを確かに感じる。(文:加藤青延?NHK解説委員。人民日報掲載)
20年余り前、日本のテレビ記者にとって両會を報道するうえで大きな難點は時差だった。全人代の開幕は北京時間午前9時だが、東京時間ではもう午前10時になっている。中國の総理による政府活動報告の內容を同日晝のニュース番組で報道するには、一分一秒を爭う、時間との勝負となる。さもなくば関連記事を掲載した日本の夕刊が出ても、私たちのテレビ局はまだ放送していないという、極めて大きなミスになる。私はまず報告の內容をしっかりと聞き、重點を把握して初めて、原稿をまとめることができる。懸命に取材して原稿を書いていた當時の様子を今なおはっきり覚えている。
インターネットの普及に伴い、日本でも両會の生放送を見ることができるようになった。また、人民日報など中國メディアの報道は迅速かつ內容豊富で、大変參考になる。現在は昔のように人民大會堂2階大広間の記者席で懸命に記録を取る必要はなく、東京のオフィスでも同時にニュースの要點を把握できる。今年の両會開幕のニュースは同日のNHKの晝のニュース番組のトップだった。
現在日中関係の発展が順調でないことは大変遺憾だ。だからこそ、中國の発展と政策を示す両會は、日本人にとって中國を知る絶好の機會だと言える。日本と中國は一衣帯水の隣國であり、協力すれば共に利し、爭えば共に傷つく。日本メディアの責任の大きさを深く感じる。私たちはこれを銘記し、両會を公正に、客観的に報道しなければならない。そうしてこそ日中両國関係の健全な発展に資することができる。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年3月11日