米アップル社のスマートフォン(多機能攜帯電話)「iPhone 6」(アイフォーン6)がこのほど売り出されると、その価格の高さから、「6を買うために腎臓を売らなくちゃ」などと冗談を言う人がたくさんいた。人民日報が伝えた。
今では攜帯電話をより高級のスマートフォンに買い換える人が多く、端末メーカーは大小問わず、「機能をより充実させ、攜帯電話をより賢くする」路線をひた走る。勢い盛んな攜帯電話の大きな流れの中、コンパクトな外見で機能が絞り込まれた「アンチスマートフォン」が、一部の人のニーズを巧みに吸い上げ、そこそこの人気を博している。
最近、知り合いの何人かが相次いでごくシンプルな攜帯電話に買い換えた。新しい端末はクレジットカードほどの大きさで、厚みは6ミリメートルくらい、外観はスッキリとシンプルで、非常に軽い。スマートフォンのオペレーティングシステム(OS)やさまざまな付加機能を排除し、通話とメールという必要最低限の機能だけを殘している。
用事があれば「微信」(WeChat)で連絡を取り、用事がなければゲームで遊び、攜帯電話を肌身離さず持つ、というのが多くの人の習慣になっている。だがよく考えてみれば、攜帯電話依存癥から回復するために、必要最低限の機能に戻るのもなかなか悪くない選択だといえる。
攜帯電話が登場してからの數十年間、人々は端末により多くの機能を盛り込み、価値の最大化を実現しようとしてきた。スマートフォンの登場で私たちの生活が実際により便利になったことは否定できない。端末メーカーは長年にわたり、スマートフォンの機能の研究開発に多大な精力をつぎ込み、スマート路線で新たな「売り」を見つけようと努力してきた。
初めはラジオや音楽プレイヤーの機能が加わり、次にカメラやビデオの機能が加わり、さらにタッチパネルがつき、今ではさらに発展して指紋認証や電子ウォレットなどのハイテク技術を土臺にした機能も珍しくない。だが長年にわたって築き上げられてきたスマートフォン帝國が、アンチスマートフォンに揺さぶられていささか動揺している。ドクターマーチンの靴とベレー帽がファッション界にレトロブームを巻き起こしているというなら、アンチスマートフォンも攜帯電話界の一種のレトロブームだといえる。アップル、サムスン、小米、華為などのスマートフォンが血みどろの戦いを繰り広げる中、「あらゆる機能は要らない、シンプルな機能でいい」が身上のアンチスマートフォンが突然立ち上がり、新たな境地を切り開いたことに、人々は驚きを隠せないでいる。
だがよくよく考えてみると、アンチスマートフォンの隆盛は「物事は究極のところまでいけば、また元に戻る」という自然の摂理にかなったものだ。どのような流行も永遠に続くということはなく、「諸行無常」という言葉のように世界は変化していく。
淡々とした時代が続けば、人々は激しさを求め、華やかな時代が続けば、人々は簡素さを求める。人の心とはこのようなもの、商売も同じだ。大きな流れに巻き込まれてひたすら前に進み、荒れ狂う人波の中で浮いたり沈んだりする時、ふと振り返ってみれば、人の群れの後ろに、別世界の大きな青海原が広がり、あなたの訪れを待っているのかもしれない。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年9月25日