多くの大學が世界大學ランキングとの「決別」を表明しているというニュースが瞬く間にネット上の話題をさらっている。あるネットユーザーは、「商業化されたランキングと決別しなければ、學術研究にさらに集中することはできない」とのコメントを寄せている。また、「自分自身の評価體系を最適化すればいい。ランキングだけを頼りにすることはできないが、それを全く見ないわけにもいかない」といったコメントも寄せられている。
2022年QS世界大學學科ランキング。
世界大學ランキングとは?その信頼性は?
現在、世界公認の世界大學ランキングには、QS世界大學ランキング、THE世界大學ランキング、U.S. News世界の大學ランキング、世界大學學術ランキング(ARWU)の4つがある。
蘇州大學教育學院の余慶曾準教授によると、QS世界大學ランキングは、大學のソフトパワーを強調し、學術査読や雇用者の卒業生に対する評判を重視した評価だ。THE世界大學ランキングは、教育と科學研究にそれぞれ30%ほどの重きを置いている。U.S. News世界の大學ランキングは學術研究を強調しているほか、學校全體の評判を重要な指標としている。ARWUは、ノーベル賞受賞者やフィールズ賞受賞者の輩出のほか、NatureやScienceといった一流學術雑誌に掲載された論文の數などの客観的な指標に重きを置いている。
余準教授は、「絶対的権威を持つ大學ランキングはない。ランキングによって差が大きいのは重きを置いている要素が異なるからだ」との見方を示す。
また、ある専門家は、「大學を総合的に、またはその特定項目を評価した各種ランキングは、中國の高等教育発展に一定の積極的な影響を及ぼした。しかし、それを過度に重視したり、経費など資源の配置と関連付けを行ったりした結果、多くの問題も引き起こした。この種のランキングには過度な商業的操作が関係しており、客観性や公平性への非難は避けられない點も重要だ」と分析している。
2020年、北京大學で入學手続きをする學部の新入生(資料寫真、撮影?蔣啓明)。
大學ランキングから「脫退」するとどうなる?専門家の分析
中國教育科學研究院の研究員?儲朝暉氏は、「大學はいろんな角度から評価すべきで、ランキングはその1つにすぎない。大學ランキング自體も、メディアランキングと學術ランキングの2種類に分けることができる。QS大學ランキングは実際にはメディアランキングだ。世界各國の狀況からすると、本當の意味での一流大學に、共通の基準はない。傑出している部分が異なっているのと同じで、一流にもいろんな分野の一流がある」との見方を示す。
21世紀教育研究院の熊丙奇院長は、「大學數校の世界大學ランキングに対する姿勢は、大きな変化」と分析し、「大學ランキングは、実際には大學に対する社會的評価で、教育を受ける人が大學を選んだり、社會の組織?団體などが提攜する大學を選んだりする時の根拠の一つになるものの、ランキングだけを頼りにすることはできない。また、公開されているデータを利用し、學校がデータを提供する必要がないランキングもあるので、大學が大學ランキングとの『決別』や『拒否』を宣言したとしても、それをまとめている機関がその大學をランク付けしなくなるということではない。肝心なのは、大學がランキングの順位に一喜一憂することなく、自分たちの定める方向性や運営方針を貫き通すことだ」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年5月12日