「睡眠は大切だけど、自由な時間はもっと貴重。睡眠が大切であることは分かっているけど、自由に使える時間はとても少ないので、それを睡眠だけに使うことはできない」という、コンサルティング會社で働く楊靜さんの言葉に共感を覚える人も多いだろう。一方、「寢たくても寢られない」という悩みを抱えている人も少なくないようだ。光明日報が報じた。
「寢られない時のストレスは、仕事のストレスよりも大きい。寢られない時は、時間が経つとどんどん焦る」、「寢られたとしても、頭の線が一本ピンと張ったような狀態で、ちょっとした物音で起きてしまう。そして、夜中に目が覚めると、もう眠れない」 といったように、中國睡眠研究會がこのほど発表した「2021運動と睡眠白書」によると、中國で不眠癥に悩まされている人の數は約3億人いる。「寢られない」や「眠りが淺い」、「朝がつらい」、「眠気が全くない」と悩む人が多いが、ゆっくり寢ることが、なぜこれほど難しくなってしまったのだろうか?
仕事や勉強が忙しかったり、遊びたい、付き合いがあるなどが睡眠を犠牲にする理由となり、「自由に寢る」というのは現代人の「ぜいたく品」となっている。
平日は夜更かしすることが多いため、「睡眠負債」を帳消しにするために、休みの日は寢だめするというサラリーマンも多いだろう。しかし、首都醫科大學附屬北京安定病院の郭雨萌醫師は、「長く寢ることで『睡眠負債』を返済できることを示す臨床的証拠はない」と警鐘を鳴らす。
北京大學第六病院睡眠醫學科の孫偉主任は、「睡眠に関する問題は、結果であるかもしれないし、原因であるかもしれない。生きていくために必ず必要なことの一つである睡眠をきちんと取れないと、総合的な問題が日に日に深刻化する可能性がある。睡眠により、エネルギーや體力を回復したり、メンタルを調整したり、免疫力を上げたり、肌や細胞の再生を促進したり、脳の老廃物を除去したり、記憶力を強化したり、集中力を向上させたり、インスピレーションを得たりすることができる。睡眠醫學従事者である私は、睡眠が食事や運動より大切で、健康の全ての要素の中で優先順位が最も高いと考えている」と話す。
そして、「ノンレム睡眠は通常、夜11時から午前1時頃までの間に発生する。その2時間を眠らずに過ごすと、ノンレム睡眠の割合が低くなり、睡眠の質が落ちやすくなる。仕事と休息の時間がバラバラになりがちの人は、體內時計が狂いやすい。體內時計がいったん狂うと、偶発的な不眠が、常態化する可能性がある」と指摘する。
清華大學附屬北京清華長庚病院?睡眠醫學センターの尹國平副センター長も、「客観的な環境を変えることは難しいが、自分のために良い睡眠の環境づくりをしなければならない。睡眠のために積極的で有益な対策を講じることが必要。例えば、日中は日光をたくさん浴び、たくさん運動をし、寢る前は電子機器を使うのを避けると良い。特に見ると興奮する映畫やドラマ、ゲームは避け、気持ちが落ち著くような本を読むのがいい。そして、寢る場所は暗くて靜かな狀態を保ち、室內の最適溫度は約20度。これら全ては睡眠の質向上に役立つ」とアドバイスしている。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年11月11日