4月15日、中國はASEAN事務総長に地域的な包括的経済連攜(RCEP)協定の批準書を寄託した。これは中國がRCEP批準の國內手続きを完了したことを意味するだけでなく、アジア太平洋地域の経済一體化が重要な一歩を踏み出したことも意味する。RCEPが発効すると、どのような影響があるだろうか。人民日報海外版が伝えた。
安くていい物がたくさん 「爆買い」に大きな恩恵
RCEPが発効して、流通コストが下がり、貿易の範囲が拡大して、真っ先に恩恵を被るのは消費者だ。RCEPとは中國とASEAN10ヶ國、日本、韓國、オーストラリア、ニュージーランドを統一市場とする自由貿易協定だ。
RCEP発効はより安い価格を意味する。杭州市の幼稚園で働く張琪珂さんは、「フィリピンのパイナップル、ベトナムのドラゴンフルーツ、タイのドリアンとココナツなどのフルーツは、今ではみんな自分の買い物カートの『常連』だ。フルーツは大好きだが、輸入フルーツは以前はどれも値段が高くて、あまり買えなかった。今年になって価格がかなり下がり、特別価格のキャンペーンも次々に行なわれるようになったので、これまでなかなか手が出なかった種類のフルーツを買って、オフィスの同僚たちと一緒に味わっている」と話した。
それでは、RCEP関係國のどのような製品が中國人消費者の注目をより集めているのだろうか。
越境ECプラットフォームの蘇寧國際の賈夢社長は、「蘇寧國際は日本、韓國、オーストラリア、タイなどに専門の調達チームがいる。新型コロナウイルス感染癥により中國內外のビジネスの発展はさまざまなレベルで影響を受けたが、蘇寧國際の業務は引き続きまずまずの成長傾向を保っている。中でもベビー?マタニティ類、化粧品類、3C家電(コンピューター類、通信機器類、電子機器類)などの輸入商品は『売り上げの中心』になり、ワイヤレスブルートゥースイヤホン、乳幼児用粉ミルク、SK-Ⅱブランドのフェイシャルトリートメントエッセンスなども、中國人消費者の間で人気が高い」と説明した。
賈氏は、「RCEPの調印は、関稅と非関稅障壁を削減することで15ヶ國による統一市場を構築し、そのカバーするエリアが世界最大の自由貿易區になることを意味する。RCEPの実施に伴い、海外ブランドが中國市場をますます重視するようになると期待され、今後はより多くのブランドが當社との協力を通じて中國市場に進出するだろう。まもなく、當社は『海外ブランドの中國進出サービスワンストップ戦略』と2021年『お気に入り新ブランドLAB計畫』を発表して、海外ブランドと新たに契約し、海外ブランドが中國の消費者にサービスを提供する上で必要とする各ブランドに合わせた現地化マーケティングサービスを提供する」という。
商務部(省)國際貿易経済協力研究院の竺彩華教授は、「以前は多くの人が代理購入または海外旅行という方法で、海外ブランドを販売する國に行って自分の欲しいものを買って帰ってきた。しかしこれからは貨物の90%は関稅がゼロまで下がり、人々が必要とする各方面の商品をほぼすべてカバーすることになり、商品の値段が下がる。品質が変わらないが、私たちはより安価な商品を買えるようになる。商品貿易の分野は、これから何度も爆発的な成長期を迎えるだろう」と予測した。
コストがさらに低下 ビジネス協力のチャンスが多い
これから消費者が実際に恩恵を受け、業者もビジネスがよりやりやすくなり、踏み込んだ協力の機會も自然と多くなる。
一方で、RCEPは企業にも巨大な市場を提供した。
謝娟さんは日本の健康食品ブランドのiSDGのチャンネル責任者で、製品の販売に影響するとみられるすべての要素に非常に注意している。「長年にわたり、iSDGは中國?上海市に本社がある夢餉集団と緊密な協力を展開してきた。當社は夢餉集団の販売チャンネルを通じて、ISDGの最新?最先端のサプリメントをいち早く中國人消費者の手元へ屆けている。今年第1四半期(1-3月)の売り上げ狀況を見ると、iSDGの中國市場シェアは前年比30%近く上昇した。今回、中國がRCEPの國內批準手続きを終えたことは、iSDGと夢餉集団との協力に新たな可能性を提供することにほかならない」と謝さん。
謝さんは、「世界最大規模の自由貿易協定として、RCEPがカバーする人口と産業は非常に目を引く。現在、iSDGはさまざまな特色を備えた質の高い製品を200種類あまりそろえ、これまでずっとアジアでよく売れている酵素シリーズから、納豆やグルコサミンといった中高年に喜ばれる健康サポートシリーズまで、何でもそろっていると言える。日本の早くから國境を越えたブランドとして、iSDGは保稅貿易モデルの支援の下、さまざまな政策によるボーナスを享受してきた。RCEPの充実と発展に伴って、iSDGもより多くのチャンスを迎えるだろう」と述べた。
また一方で、RCEPはECにより大きな「正の外部性」を発揮させる見込みだ。
阿里巴巴(アリババ)集団の張闊副総裁(アリババ國際ステーション社長)は、「今年3月16日、當社はベトナムと協力合意に調印し、現地の対外貿易企業の世界進出を支援することになった。合意の內容は主に食品?飲料品、家具?インテリア?園蕓、化粧品?スキンケア製品、衣類、機械類、農業の14業界をカバーしている。アリババ國際ステーションは現在、海外のダイレクトマーケティング?サービスチームを増やす準備をしており、中國國內のデジタル化変革の力をRCEP加盟各國に応用すると同時に、バイヤー各自の身元を確認した後に細分化した運営を重點的に行い、売買のマッチング効率を高め、國內外の業者がプラットフォームにアクセスすればすぐに取り引きが行えるよう保証する」と述べた。
多くの國際機関がRCEPのもたらすボーナスを高く評価することが注目される。國連貿易開発會議(UNCTAD)の研究報告では、2025年までに、RCEPは加盟15ヶ國に10%を超える成長率をもたらすという。米國のピーターソン國際経済研究所の試算によれば、30年までに、RCEP加盟國の國民所得の合計が1860億ドル(1ドルは約108.9円)増加し、年間輸出総額は5190億ドル増えるという。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年4月28日