中韓両政府はこのほど、中韓自由貿易協定(FTA)の仮署名手続きを終えたことを発表し、関稅減免の內容を公表した。中國にとっては、これまでで貿易額が最大で、範囲が最も全面的なFTA交渉を妥結し、「利益がおおむね均衡し、全面的で高水準」なFTA交渉という目標を実現したことを意味する。(文:王義桅?中國人民大學國際問題研究所所長、重陽金融研究院シニアフェロー。人民日報海外版コラム「望海樓」掲載)
中韓FTA交渉の妥結は、中韓経済の融合を大幅に加速する以外にも、複數の戦略的効果を生む。
第1に、世界の交渉への効果。中韓FTAは世界の主要エコノミー間で締結される最も重要で、質とレベルが最も高いFTAの1つであり、世界の貿易自由化?投資円滑化ルール交渉に対して重要な模範的?推進的効果を持つ。中韓FTAが金融を他のFTAのようにサービス分野に含めるのではなく獨立して扱ったことは、世界の他のFTA交渉に対して先導的?模範的効果を生む。
第2に、地域協力効果。中韓FTAは一層の波及効果を生み、日本や中國臺灣地區などのエコノミーに対して中國大陸とのFTA交渉の加速またはアップグレードを促し、最終的には中日韓自由貿易圏を完成させ、東アジア全體のFTA交渉につなげ、さらに包括的で先見性あるアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の最終的確立を後押しする。FTAAP提唱後に中國がこの地域で初めて締結するFTA協定である中韓FTAはFTAAPの「テストケース」となる期待を擔っている。同時に、地域協力の政治的効果も明らかだ。例えば開城工業団地の大部分の製品は「韓國製」の資格を得る。これは北東アジア経済の融合を加速し、朝鮮半島、東アジア地域の平和と繁栄を促進する。
第3に、二國間の模範的効果。米國の同盟國である韓國が率先して中國とのFTA交渉を妥結したことは、続く中國とオーストラリアのFTAと共に、アジア太平洋地域における米國の同盟國に対して重要な模範的効果を生む。米國の同盟國も中國とより緊密な経済さらには戦略協力を確立し、樸槿恵大統領の言うアジア諸國は経済面では中國に依存し、安全保障面では米國に依存するという「アジアパラドックス」から脫卻することが完全にできるということだ。