引きつけ合う2つの天體の運動法則は、ニュートンの萬有引力の法則により正確に予測できる。それらの軌道はほぼ楕円形をしている。しかし3つの天體がある場合、例えば太陽、地球、月が相互に作用している場合は、その運行にはどのような法則があるだろうか。SF作家の劉慈欣はSF小説「三體」の中で、一つの仮想の「三體世界」を描き、読者にニュートンが1687年に打ち出した有名な「三體問題」について科學的に説明した。
小説の「三體星人」が暮らす惑星は、3つの恒星からなる三體システムの中を運行している。この3つの恒星の運動には何ら法則がなく、「三體星人」の空には同時に2つか3つの太陽が昇ることがあれば、太陽が1つも昇らないこともある。これにより「三體星人」の星では不定期的に絶滅が発生し、「三體文明」の崩壊と復活が繰り返される。
「三體問題」は300年以上にわたり、世界の學術界から広く注目され、史上最も有名な科學の問題の一つになった。上海交通大學の廖世俊教授とその指導する博士課程在學中の楊宇氏、暨南大學の李暁明準教授は國際的な學術誌「New Astronomy」に論文を発表した。「機械學習」と、その発明した非常に高精度な數値計算アルゴリズムを結びつけることで、「三體問題」の周期軌道の解を求めるルートマップを打ち出し、計算効率を大幅に高めた。「三體問題」の大量かつ正確な周期軌道を得るための基礎を築いた。
機械學習を利用し、同族三體システムの異なる天體質量の周期軌道を求める。(畫像提供は上海交通大學)
廖氏は2009年にカオス動的システム収束軌道を得るストラテジーである、正確な數値シミュレーション(Clean Numerical Simulation、略稱はCNS)を打ち出した。CNSは數値の誤差を任意に小さくできることにより、カオスシステムの十分な時間內の収束の數値解を得ることができる。
研究チームは21年にCNSを利用し、同三體システムのランダム質量の13萬5445の周期軌道を取得することに成功し、「三體問題」周期軌道の數を數桁増やし、ランダム質量の「三體問題」周期軌道(特に長周期軌道)の解を求めるCNSの有効性を証明した。
研究チームは22年、計算効率をさらに大幅に高めるため、CNSと機械學習を結びつけ、「三體問題」の周期軌道を得るためのルートマップを打ち出した。CNSは理論上、n個の天體の周期軌道の解を求めたり、亂流の研究を行う上で使用できる。銀河系の変化、複雑な亂流の正確な數値シミュレーションなどに新たな研究ツールを提供した。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年6月22日