零下40度まで気溫の下がった西蔵(チベット)自治區(qū)には、肌を刺すような寒風(fēng)が吹きすさび、數(shù)十センチメートルも降り積もった雪が、地面をすっかり覆い隠していた。ここは同自治區(qū)阿里地區(qū)改則県。県內(nèi)には10萬(wàn)キロメートルにわたって羌塘草原が広がり、10萬(wàn)頭を超えるチベットカモシカが生息する。人民網(wǎng)が伝えた。
改則県林草局の仁増羅布局長(zhǎng)は朝早く羌塘草原にやって來(lái)た。普段の巡回保護(hù)の作業(yè)とは異なり、この日は草原の奧の方まで足を踏み入れ、「食品デリバリー配達(dá)員」の役割を果たした。「配達(dá)サービス」を受けるのは、草原に暮らすチベットカモシカたちだ。
群れをなし集まったチベットカモシカ(撮影?仁増羅布)。
昨年10月以降、羌塘草原は広い範(fàn)囲で大雪となり、気溫が急速に低下した。仁増羅布さんは普段の巡回保護(hù)をする中で、遠(yuǎn)くの方に黒と黃色の點(diǎn)がたくさん集まっているのを目にした。何かが群れをなし列を作って動(dòng)いており、近づいて見(jiàn)てみると、草原の一部分に密集した數(shù)千頭のチベットカモシカだった。
それからの數(shù)日間、仁増羅布さんは管理保護(hù)スタッフにたびたび電話で狀況をたずね、ようやく次第に狀況をつかめるようになったという。それは連日の大雪の影響で、カモシカがエサを求めて雪が少ない場(chǎng)所に集まってきていたのだった。
仁増羅布さんの「凍死したカモシカや餓死したカモシカはいないのか?」という質(zhì)問(wèn)に対し、管理ステーションのスタッフからは、「大人のカモシカは問(wèn)題ないが、生まれたばかりの赤ちゃんの狀況はあまり楽観できない」という答えが返ってきた。
仁増羅布さんはこの答えを聞いて胸が締め付けられる思いがした。そこでそれから數(shù)日間、カモシカたちの生存狀況を確認(rèn)するため、再び草原に出かけた。零下30-40度の気溫が続き、草原に厚く積もった雪は溶ける気配もなく、カモシカたちの命は極端な気象現(xiàn)象により非常に大きな脅威にさらされていた。
「このままではだめだ!」と仁増羅布さんは密かに決意し、今まで誰(shuí)も思いつかなかった「エサのデリバリー」を?qū)g行すると決めた。
まず飼料になる草をどこで調(diào)達(dá)するかという問(wèn)題があった。同局の職員と一緒に牧草栽培を手がける合作社を訪れ、余った干し草を買い取った。チベットカモシカに與えるのだと知ると、合作社の人々は皆賛同してくれたという。
袋に詰めた干し草を管理ステーションまで運(yùn)ぶ様子(撮影?仁増羅布)。
仁増羅布さんたちは干し草を袋詰めして大型トラックと小型ピックアップトラックに積み上げ、丸一日かけてチベットカモシカの生息地近くにある管理ステーションまで運(yùn)んだ。
管理保護(hù)スタッフと同局のスタッフは最初、干し草の半分ほどを地面にどさっと置くだけだった。仁増羅布さんはそのときのことを振り返って、「誰(shuí)もが初めての経験で、カモシカたちがありがたく受け取ってくれるかどうかなんて、誰(shuí)もわからなかった」と笑いながら語(yǔ)った。
翌朝早く、草原に向かう仁増羅布さんは緊張の面持ちでドキドキしていた。草原に到著すると車から飛び降り、あちこちに置かれた干し草がどれくらい食べられているかをチェックした。幸い、干し草はほとんど食べられており、仁増羅布さんは、「こんなやり方だったが、効果があったんだ!」とホッと胸をなで下ろしたという。
管理保護(hù)スタッフがカモシカのためにエサを撒く様子(撮影?仁増羅布)。
それから2日間にわたり、カモシカたちが今年のとりわけ厳しい冬を越せるようにと願(yuàn)いながら、県のスタッフは広大な草原に草を撒き続けた。またその後半月にわたって10數(shù)トンの草を撒き、たくさんのカモシカがエサの不足する冬を無(wú)事過(guò)ごせるよう力を盡くしてサポートした。(編集KS)
「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2022年3月7日