中國翻訳協會と北京第二外國語大學が共催し、北京第二外國語大學日本語學院が運営する「第8回翻訳理論と実踐國際シンポジウム及び2017年全國日本語MTI(通訳翻訳修士課程)建設フォーラム」が5日、北京市で開催した。今回のシンポジウムでは、中國全土の大學日本語翻訳人材育成體制構築過程において、注目を集める問題點について研究討論することをその主旨としており、中國全土の大學における日本語翻訳専門學科の開設及び翻訳教育理論體制の構築と発展を共に推進していくことを目指している。人民網が伝えた。
今回のシンポジウムでは中日両國の専門家を招待し、「MTI育成プランとカリキュラム體系研究」や「MTI翻訳通訳トレーニングモデル、品質、管理とその評価の研究」、「MTI教育におけるICT(情報通信技術)の応用及び研究」、「MTI実踐教育と人材市場」等の議題をめぐって討論が行われた。
北京第二外國語大學の邱鳴副校長はシンポジウムの開幕セレモニーで、翻訳學科の設立と2007年にMTI授業が開設されてからの10年間の発展を高く評価し、そのあいさつの中で、「日本語教育のレベルをどのようにして高め、教育內容と形式をどのようにして作り上げ、MTI翻訳人材の育成をどのようにして體系化するかが、今後引き続き注力して検討していきたい課題だ。日本語教育の経験と成果を業界の専門家や學者たちと共有?交流するための場にしたい」とした。
北京第二外國語大學日本語學院の楊玲院長は、MTIテーマフォーラムの司會を務めるとともに、MTIの沿革と発展狀況について紹介した。翻訳専門學科の開設と発展において、現在直面している様々な問題について専門家たちとディスカッションを行った。
対外経済貿易大學の王立非教授は、「言語サービスとMTI教育の現狀分析と思考」をテーマに、現在の中國言語サービスとMTI教育発展狀況を重點的に分析し、「一帯一路」(the Belt and Road)における言語サービス市場の人材やサービス、資本に対する需要がすでに形成されている背景を踏まえた上で、言語サービス分野において「中國における『一帯一路』言語サービスの戦略計畫が統一されていない」や、「言語サービス業界への參入基準がない」、「言語サービスの品質基準がない」、「言語サービスが一帯一路の海外進出政策の要求にマッチしていない」といった問題點を指摘した。そして王教授はMTI教育の品質に対し、進めている調査研究を基礎として、自身の考えや提案を述べ、「大學は従來型の翻訳人材育成の理念を捨て、翻訳人材育成のみならず、ダイバーシティーに富んだ『外國語プラスアルファ』の複合型言語サービス人材の育成が要となってくる。そのため、言語サービス専門學科増設の検討を提案する。一部の大學で試験的に取り入れ、ある程度経験を積んでから展開していき、複合性?応用性?革新性?創業性の4つが一體となった言語サービスカリキュラム體系の構築、また良質で優れたカリキュラム、特に実踐とトレーニングのカリキュラムを構築していくことが必要だ」とした。
日本杏林大學大學院の塚本慶一教授はシンポジウムで日本の翻訳市場の現狀を紹介した上で、「通訳人材は責任感?向上心?好奇心等の素養を備えるべき」と指摘し、「今後大學で翻訳教育を進めていく上で、市場のニーズをより參考にし、翻訳できるだけでなく、良質な翻訳ができる人材の育成が必要。AI技術の出現は、翻訳教育と翻訳業界に非常に大きな衝撃を與えただけでなく、大きな挑戦を強いられている。そのため、こうした現狀に対応するため、どのように翻訳教育レベルを向上させ、良質な通訳人材の育成をしていくかという點が業界內で真剣に考えて行くべき課題だ」とした。
臺灣輔仁大學クロスカルチャー研究所の楊承淑所長は、大學でどのようにして市場のニーズにより合わせた産學協力を進めていくかという點について、輔仁大學において実踐している経験を紹介した。同大學クロスカルチャー研究所は3年前から積極的に大學が市場進出するためのルートを模索している。3年にわたる調査研究の結果、國際市場とのドッキングに成功し、國際醫療翻訳と通訳関連産業研究協力プロジェクトが展開されている。日本の醫療専門人材向けの特別育成カリキュラムを構築し、専門適用型人材を多數育成し、成功の道を切り開いた。楊所長は、「現在、大學の翻訳専門學科開設において、その同質化が深刻で、カリキュラム設定や授業內容のほとんどが従來のままで革新に欠けている。大學が體制による制限から飛び出し、差別化や品質向上による発展の路線を模索しようとするならば、市場ニーズを見定め、その専門と産業をつなぎ合わせていく必要がある」とした。
中日同時通訳界の専門家である蔡院森氏は、第一線で活躍する通訳者の視點から、今後の大學における日本語學科開設に対する見解と意見を述べた。蔡氏は自身の実踐と経験を踏まえた上で、「翻訳専門教育は、更なる基礎教育の強化が必要。老子の『授人以魚不如授人以漁(人に魚を與えれば一日で食べてしまうが釣りを教えれば一生食べていける)』という言葉のとおり、學生に學習方法を學ばせることで、學生の學習能力育成も行うべきだ。翻訳専門の學生たちは、自分の言語資料データベースを作り、日常的な學習や実踐の中で得た情報をそこにストックし続ければ、日本語學習レベルの向上だけでなく、仕事の効率アップにも大いに繋がるだろう」とアドバイスした。(編集TK)
「人民網日本語版」2017年11月8日
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