「壁にパテを塗るのが仕事」という張麗佳さんは、ほこりが舞う工事現場で、高さ數メートルの足場にスタスタと登り、片手にパテののったコテ板を持ち、もう片方の手でコテを持って壁にパテを塗り、山や川などの景色が描かれたレリーフを製作していた。揚子晩報が報じた。
95後(1995から99年生まれ)の張さんは、自分のスキルを活かして、6日間で4萬元(1元は約16.8円)も稼ぐ壁畫アーティスト。壁畫を製作する様子を映した動畫を、ショート動畫プラットホームに投稿すると、フォロワーが850萬人以上も集まった。この仕事を始めて4年になる彼女は、筆などを入れた大きなスーツケースを持って、中國各地を走り回っている。1年で、製作した壁畫は60作品以上にのぼり、年収は100萬元以上に達したという。昨年末、中國中央テレビ局(CCTV) から要請を受けて、同年12月8日に地震が発生した四川省綿竹市に足を運び、大型壁畫を製作。多くの人々を感動させた。現在、壁畫を描いてほしいという注文は、半年先まで詰まっているという。
張さんがSNSにアップしている動畫を見ると、作業をしている場所のほとんどが內裝工事中の工事現場やマンションのリビング、オフィスビル、コミュニティの文化壁、遊園地などだ。それらの場所で、彼女はコテを持って高さ數メートルの足場に堂々とした姿で立っている。まず、専用のペンで白い壁におおよその形狀を描き出し、その後、コテでパテを塗って山や川などの輪郭を作り、最後に色を付け、山水畫のレリーフを完成させる。
壁にパテを塗る張さん。
最近、「1人で6日間で4萬元稼ぐ」というタイトルの動畫がネット上で話題となり、張さんは瞬く間に時の人となった。その動畫の再生回數は3億1000萬回に達し、ネットユーザーからは、「自分のスキルを活かして稼いでいるのだから、どれだけ稼いでもやましいことは一切ない」、「コンクリートの壁に人間の賑やかな世界を描いている」など、絶賛するコメントが次々と寄せられた。張さんは取材に対して、「動畫は全てノンフィクション。あの作品は昨年11月に完成した。一人で天津に行き、6日かけて仕上げた。クライアントも満足してくれて、約束通り4萬元を支払ってくれた」と話した。
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張さんが製作した4萬元相當の巨大レリーフ
張さんのショート動畫プラットホームのアカウントには850萬人以上のフォロワーが集まっているが、なぜそれほどの人気となっているのだろうか?彼女自身はその人気の秘密について、「みんな、女性の私が汚くて、ハードな仕事をしていて、苦労をいとわないと感じているからかも。パテを塗ったり、足場やコンプレッサーを運んだり、高所で作業をしたりし、工事現場で寢るのも問題ないので、とてもボーイッシュでしょ」とし、「みんなに、かわいいのにこんなに頑張っていると言われて、とてもうれしい」と笑顔で語った。
張さんと壁畫作品。
安徽省の農村で生まれた張さんは、「両親は経済的にとても裕福とは言えず、父親はデリバリー配達員、母親は清掃の仕事をしている。子供の頃から絵が大好きで、暇な時はいつも絵を描いていた。高校生の時に、美術系の大學に行き、將來は美術関係の仕事をしたいと伝えた。大學の學費は、両親にとって大きな負擔となるものの、私の夢を応援してくれた」といい、努力が実り、広東省の大學のアパレルデザイン科に合格したという。
「壁畫に出會ったのは大學2年の時。學校の近くにオープンしたパン屋のオーナーが壁に黒い線を描いてほしいという募集を出していたので、生活費を稼ぐために、連絡した。それまでに壁畫を手掛けたことはなく、模索しながらやっていると、それほど難しくないことに気付いた。壁に描くレリーフは、服のドレーピングと共通がある。その時から、壁畫に強い関心を抱くようになった」と張さん。
大學卒業後、張さんは、全國にチェーン店がある美術用塗料會社に就職し、中國各地のクライアントを訪ねて、壁畫を製作するようになった。その時から、高さ十數メートルの足場に登り、壁畫を製作するというのが普通のこととなり、疲れた時は、ホコリだらけで汚い作業現場に座ったり、寢転んだりして休むようになった。また、お腹が空いた時は、塗料が入った缶をテーブル代わりにして、デリバリーで配達してもらった食事を食べ、車から降りるとすぐに袖をまくって、何時間も作業をするという生活を送っている。「自分の好きなライフスタイルを選ぶ権利が誰にもある。私は絵を描くのが大好きで、全國を巡って、いろんな風土や人情を體験するのも大好き。ためらうことなくこの業界に入った」と張さん。
高い足場に登って作業をする張さん。
2020年末、張さんはCCTVから要請を受けて、四川省綿竹市清平鎮の「童話村」に行って、壁畫を製作した。彼女はもう一人のアーティストとコラボして、40平方メートルの大きさの、中國伝統の年畫(新年に家の門や扉、壁等に飾る版畫)の要素を盛り込んだ裸眼3D壁畫を製作し、地震と土石流の二つの災害に見舞われ、甚大な被害が出た村にプレゼントした。この仕事を手掛けるに先立ち、張さんはある優秀な同業者にアドバイスをもらい、最終的にパテの代わりにセメントを使い、最も意義があり、最も満足いく作品を完成させた。「製作の過程で、感動することがいっぱいあった。村の勇敢でポジティブな人々は本當に素晴らしい」と張さん
張さんがもう一人のアーティストとコラボして綿竹市の村にプレゼントした裸眼3D壁畫。
今後の計畫について、張さんは、「オリジナル作品をたくさん製作したい。また、設計部門や施工部門などがある會社を立ち上げ、動畫を撮影し編集してくれるチームも設置したい。そして、高く評価してもらえるオリジナルブランドを作りたい。壁に描くレリーフが中國の一人でも多くの人に知られるようになることを願っている。私の努力を通して、一人でも多くの人に、壁畫の美しさを知ってもらいたい」と話した。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年4月7日