中國吉林大學の張暁安教授のチームはこのほど、エレクトロクロミズムの新技術を開発した。同技術は金屬イオンとリガンドの間の動的配位の相互作用を利用し、非発射型透明ディスプレイを開発した。このディスプレイは高コントラスト比の特徴を持ち、電圧の刺激を受けると無色透明から有色透明への可逆変換を実現する。染料分子の種類の変更により、このディスプレイは異なる色を表示できるようになる。同技術は將來の多くの応用の基礎を固めた。この研究成果は11日付の「Cell Press」傘下の學術誌「Chem」に掲載された。
異なる電圧を加えることで、エレクトロクロミズムディスプレイは連続的かつ可逆的に有色?退色狀態の間の可逆変換を実行できる。この特性はエレクトロクロミズム窓、省エネ電子ラベル、電子看板、防眩サイドミラー、拡張?仮想現実、人工虹彩などの分野に応用される見通しだ。ただ、同技術には現在、一部の限界が存在する。例えばコントラスト比と安定性が低く、色の種類も限定的だ。これらの限界はエレクトロクロミズムディスプレイの実際の応用を制約している。
王宇洋博士と同僚はこうした欠點を解消するシンプルな化學的方法を開発した。電圧の刺激により金屬イオンの原子価狀態の変化を制御することで、金屬イオンと染料分子の配位と解離のプロセスに影響を及ぼし、染料分子の構造?色の変化を誘導するという方法だ。
張宇模氏は「変色反応ポイントと酸化還元反応ポイントが同じ位置にある従來のエレクトロクロミズム材料と異なり、この新材料のそれは異なる反応ポイント上にあり、染料分子の交換により簡単に複數の色を表示できる」と述べた。
研究者は粘著剤とインジウム電極を使いエレクトロクロミズム裝置を作り、そして金屬塩、染料分子、電解質、溶剤による混合溶液をその中に入れた。それから彼らはこの裝置に対して一連のオペランド分光、電気化學的試験を行った。研究者の試験により、このディスプレイが高いコントラスト比を持ち、異なる染料分子の交換によりマゼンタ、黃、赤、緑、青、黒、ピンク、紫、灰など複數の色を表示できることが分かった。特に商業応用において最も重要な黒の表示において、このディスプレイは無色と黒の可逆変換が可能で、白光コントラスト比と著色効率が高い。これは透明ディスプレイの実際の応用に役たつことができる。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年3月11日